2007年02月05日

小説「GO-ONE」 松樹剛史

 デビュー作「ジョッキー」に続く競馬を扱った作品です。
 存続が危ぶまれている地方競馬所属の騎手を軸に、厩務員でもある妹とJRAの若手騎手2人の計4人を中心に物語は展開します。風呂敷を広げすぎることもなく、テンポがいいし、無駄に考えさせられるような箇所がないので一気に読めます。全肯定しませんが、楽しめました。
 しかし私は通常、間を置いて2〜3回は同じ小説を読むのですが、この作品をもう一回読むかどうかはわかりません。

 楽しめたのになぜ再読しないのかというと、どうにも気になる点が3つ。

1.登場人物同士の会話
 幼稚に感じます。内容ではなく、言い回しが。そのせいかすべての登場人物が薄っぺらく感じます。特に若手騎手同士の会話は学芸会よりひどい。

2.主人公の性格
 小説ですので突拍子もない人がいてもおかしくないのですが、あまりに現実離れしすぎています。こんな騎手が地方から中央に遠征してきたら、藤田騎手と四位騎手の餌食になってしまうといらぬ心配をしてしまいました。

3.モデルになった馬
 明らかにコスモバルクとハルウララがモデルになった馬が登場します。コスモバルクは良しとしても、負け続ける馬を登場させたのは何故か?安易に登場させただけではないのは、読み進んでいくとわかりますが個人的に好きではないので拒絶してしまいました。
 「累積赤字に苦しむ地方競馬」、「外厩制度」、「地方所属のまま頂点を目指す騎手と馬」・・・これはいい。むしろ重要な問題です。
 しかし「負け続ける馬」まで引っ張り出す必要はなかった。


 と散々な評価でありますが、冒頭にも書いたようにテンポがいいんですよ。途中で退屈しないんです。もちろんそれだけではありません。
 JRAの若手騎手2人の描かれ方はよかったですね。
 男社会(=競馬サークル)で必死にもがく女性(=騎手)と、それを優しくときに厳しく見守る師匠(=調教師)との信頼関係。
 自分で自分の(騎手としての)才能を見限ったけど、それでもその世界で生きていこうと腹を決める青年。
 この2つはよかったです。
 ちょっとくさいけどね。特に2つめは。でもたまにはくさくてもいいよね。


posted by kurozo at 15:23| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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